ぴおねろの森を
つくった理由は?
私は数年前、我が子たちの突然の不登校に動揺し、孤立感と将来への不安でどうしたらいいのかわからなくなりました。なぜそのような感情になるのでしょうか?それは「子どもは学校に行くのが当たり前」という風潮だったり、自分の中の根深い価値観だったり、日本の制度の問題もあるでしょう。しかし「不登校」を理解するために学び進めていく中で、多様な学び方をしている子ども達や、それを支え共に生きる大人達に出会い、私はたくさんの勇気をもらいました。
【不登校を取り巻く現状】
現在、不登校の児童生徒数は約30万人と言われ、過去最多を記録する中、不登校の子ども達の教育環境は、未だに十分保障されているとは言えません。全国的にみても居場所自体の数が少ないことや、経済支援がない為、通う事すらできない子も数多く存在します。また『子どもは学校に行くのが当たり前』という風潮が、さらに子ども達を追い詰め、自分を否定し、閉じこもり、孤立していきます。
この現状を踏まえ、平成28年「普通教育機会確保法」が成立、「不登校は問題行動ではないこと、休みの必要性や学校外の学びの重要性を認めた」画期的な法律が誕生。さらに令和元年、文科省は「学校に登校という結果だけを目標にするのではなく、社会的自立を目指す必要がある」とした通知を発表。令和5年には、千葉県が全国に先駆けて、不登校を支援する条例が成立。様々な教育の受け方を認め、将来的な自立を目指すこと等が掲げられました。さらにこの春、子ども家庭庁の発足や子ども基本法の成立等…子どもの声にもっと耳を傾け、子どもの権利を保障する社会へと前進しつつあります。
しかし、子どもの自殺者が過去最多を更新し、生きづらさが加速する中、何より悲しいのは、自己否定感や劣等感を抱え、苦しみながら生きている不登校の子どもが多い現状です。大人が創った社会で子ども達が苦しんでいます。今、必要なことは、多様な命を尊重し、その権利を守る制度・仕組みづくりです。すべての子ども達が「自分は自分でいいんだ」と実感できる居場所を創りたいと。
【学びたい場所で、学びたいことを、自分のペースで学ぶ】
学校に行っていない子は何も学んでいないんでしょうか?じゃあそもそも「学び」って何だろう?その原点に帰るきっかけを与えてくれたのは、不登校の子ども達です。そんな子ども達が発する命の叫びにもっと耳を傾け、これからの教育に役立てていくべきだと私は考えます。また今後ICT教育が加速していく中で、もはや教室に縛られることなく、学べる時代になりつつあります。社会も多様な学び方が当たり前になっていき、いつしか「不登校」という言葉や概念すら消滅し、子ども達がもっと自由に学べる時代がもうすぐそこまできているのかもしれません。
しかし、まだまだ居場所が不足する中、親も子も孤立しがちです。だからこそ、手を繋ぎ、学び合い、支え合えたら嬉しいです。そしていつか多様な学び方を子どもが自ら選択でき、認め合える社会になるように…。
「ぴおねろの森」がそんな希望に満ちた居場所になるように、地域の力をお借りしながら精進していきたいと思います。
「大切なこと」
●生きているだけで祝福される居場所
●すべての子どもが安心して通える居場所
●自由と自治を学ぶ居場所
ぴおねろの森って
どんなところ
生きているだけで
祝福される居場所
ありのままの命を祝福できる場。
子ども自身が自分の命を肯定して生きていけるように。
自分のことは
自分で決める
どう過ごすか?何を学ぶか?どう生きるか?は自分で決めます。
自分で決めたことを受け入れてもらえた体験の積み重ねが
自分の命を肯定することに繋がります。
自分が生きたいように生きていく力を育みます。
みんなのことは
みんなで決める
みんなでやってみたいこと、困っていること、ルール作りなど…
子どもも大人も平等の一票を持った「ミーティング」によって決定していきます。
自由であると同時に自治を学び、自らが属する居場所に責任を持つことを学びます。
子どものやりたいことを
応援します
人間のあらゆる営みの根源は「遊び」です。
強制ではない好奇心が入り口の学び、子ども中心の学びを追求します。
子どもの最善の利益を
追求します
「ぴおねろの森」は学校復帰を目的とした場所ではありません。
逆に学校に通うことを否定している場所でもありません。
100人いれば100通りの幸せの形があり、
その子に合った学び方、生き方を尊重します。
ぴおねろってなに?
スペイン語で「開拓者」という意味です。ではなぜ開拓者なのでしょうか?
特に学校以外で学ぶ子ども達にとっては、日本の制度や社会の理解が追いつくまでは人一倍険しい道に感じることもあるでしょう。だからこそ、すべての子ども達が自分らしい道を切り開き、力強く生きていってほしいという願いと共に、日本の教育の開拓者という意味も込め、名づけました。